青の書斎

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~近くの親戚より遠くの他人~『クイーンズ・ギャンビット』第2話「エクスチェンジ」

第2話では孤児院から舞台が変わり、学校へ通うなど比較的自由な行動がとれるようになるベス。養子に取ってくれる育ての親が見つかり、養母アルマと過ごす日常生活にフォーカスが置かれる回です。

 

第2話のタイトルコール前。ベスは、シャイベルに助けを求めます。薬を黙って取ったバツとしてチェスを禁じられているので、何とかしてほしいと。シャイベルは彼女に目を合わせますが、何も言わずに電球の付け替え作業に戻ってしまいます。

 

すげないシャイベルでしたが、のちにチェス大会への出場費用をベス宛に手紙で送ってくれます。ベスは大会で全勝優勝し一躍話題に。養母アルマはチェスに賞金が出ることに興味を持ち、彼女を様々な大会へ遠征させるようになるのでした。

 

孤児院でのワンシーンを振り返ってみると、消えていた電球に光が灯り、廊下を鈍く照らしています。これは、ベスの将来の道を照らす明かりのようにも見え、隠喩的な描写だと感じました。

 

第2話でもとにかくチェスにおいて圧倒的な才能を示し続けるベスですが、賞金を稼ぎ始めるのもこの回からです。特に、年端もいかない少女が対局時計も大会ルールも知らないまま、大人たちを圧倒していく様子は痛快です。

 

 

生活がだんだん良くなってくる描写もいいですね。転入した学校で服装のセンスをからかわれるベスは、養父の進言もありデパートのバーゲンセールで養母アルマからテキトーに服を決められます。
しかも、買い物中に見かけたチェスセットについて話を振っても取り合ってもらえない。学校生活・私生活ともに充実しているとはいいがたいベスの日々、かわいそうです。チェスセットは小遣いをためて買いなさいと言われ、養母の側も冷酷の人というわけではないのですが、養子の興味に寄り添ってくれない態度に視聴者側のフラストレーションがたまっていきます。

 

そこへ来てシャイベルおじさんの助け舟。チェスの大会への出場料を受け取り、彼女のプレイヤーとしての生活が始まったのでした。この第2話は「近くの親戚より遠くの他人」という新たな格言を生み出しました。