青の書斎

ドラマ・映画・小説などのレビューを書いています。

~母の言葉~『クイーンズ・ギャンビット』第4話「ミドルゲーム」

第4話の「ミドルゲーム」を見てきました。内容的には中々重いところもありましたが、前回の「ダブルポーン」とは違った舞台で展開されるストーリーが新鮮でした。 〇「ふつうの女の子」としての人生も、アルマは応援 ベスは以前言っていた通り、ロシアの強豪…

~少女は「挫折」に出会う~『クイーンズ・ギャンビット』第3話「ダブルポーン」

遠征のためシンシナティに訪れたベス達。宿泊部屋に入ると、二人は室内の備品を触ったりテレビのスイッチをつけたりして、部屋の使い心地を確かめます。アルマが「頼んだ通りの快適な部屋ね」と言うと、ベスはベッドへ身体ごと飛び込んでトランポリンのよう…

~近くの親戚より遠くの他人~『クイーンズ・ギャンビット』第2話「エクスチェンジ」

第2話では孤児院から舞台が変わり、学校へ通うなど比較的自由な行動がとれるようになるベス。養子に取ってくれる育ての親が見つかり、養母アルマと過ごす日常生活にフォーカスが置かれる回です。 第2話のタイトルコール前。ベスは、シャイベルに助けを求めま…

~ジギャクを交えた老練な一首~古今和歌集・春歌上・8番歌「春の日の光にあたる我なれど かしらの雪となるぞわびしき」

・詞書 二条のきさきの東宮の御息所ときこえける時、正月三日おまへにめして、仰せ言あるあひだに、日はてりながら雪の頭にふりかかりけるをよませ給 ・作者 文屋康秀 ・歌 春の日の光にあたる我なれど かしらの雪となるぞわびしき ・訳 春の日の光にあたる…

~「居り?折り?」~古今和歌集・春歌上・7番歌「心ざし深くそめてしをりければ消えあへぬ雪の花と見ゆらん」

・詞書 題しらず ・作者 よみ人しらず ・歌 心ざし深くそめてしをりければ消えあへぬ雪の花と見ゆらん ・訳 気持ちを深く染めて折ったので 消えきらない雪が花のように見えるのだろう 見どころその1 春の到来を待つ心、その気持ちをどう表現するか? 今回も…

~上の句の「?」と下の句の解決感!~古今和歌集・春歌上・6番歌「春たてば花とや見らむ 白雪のかゝれる枝にうぐひすの鳴く」

・詞書 雪の木にふりかゝれるをよめる ・作者 素性法師 ・歌 春たてば花とや見らむ 白雪のかゝれる枝にうぐひすの鳴く ・訳 春が立ったから花と見るのだろうか 白雪のかかっている枝に鶯が鳴く 〇見どころその1 雪を花に見立てる優雅な表現 立春の日を迎え…

~極小と極大を行き来する魔術…だけではない~俳句・飯田蛇笏「芋の露連山影を正しうす」

・所収 『山廬集』1914年 ・作者 飯田蛇笏(いいだだこつ、1885年4月26日 - 1962年10月3日) ・句 芋の露 連山影を正しうす 〇見どころその1 予想しえない展開 飯田蛇笏の代表的な句との呼び声高い本作品の魅力は、なんといっても受け手に先を予想させない…

~赤い十字架の示す少女の運命~『クイーンズ・ギャンビット』第1話「オープニング」

〇少女はチェスに出会い… ちょっと前から気になっていた連続ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』を見始めました。これはチェスの世界を舞台に描かれるストーリーで、ときは1950年代。母の死に伴い児童養護施設に入った主人公の少女・ベスは、地下室でひとり…

~恐怖!逆接待…そして、“2人の山岡“~『美味しんぼ』第4話「活きた魚」

〇第4話の概要 舞台は秋の軽井沢。 大日エレクトロン社のゲストハウスに招かれた谷村部長・山岡・栗田は黒田社長が自ら振舞うシマアジを味わいます。しかし、その場に居合わせた子どもが「うまくない」と苦言を呈し、ワンマン社長・黒田は怒りをあらわにしま…

~過去と未来をつなぐ「赤い」トマトの存在~『美味しんぼ』第3話「野菜の鮮度」

〇第3話の概要 究極のメニューを担当する山岡・栗田は、栄商グループの経営する新しいデパートへ取材へ向かいます。しかし、売り場の野菜やレストラン街の品質にダメ出しをする山岡は板山社長を怒らせてしまい、東西新聞社の広告収入が激減。それでも山岡は…

古今和歌集・春歌上・5番歌「梅がえにきゐる鶯 春かけて鳴けども いまだ雪はふりつゝ」

・詞書 題しらず ・作者 よみ人しらず ・歌 梅がえにきゐる鶯(うぐいす) 春かけて鳴けども いまだ雪はふりつゝ ・訳 梅の枝に来てとまるうぐいす 春をかけて鳴くが いまだに雪は降り続いて。 〇「梅に鶯」の取り合わせ 取り合わせのよいものを指した「梅に…

~折衝力抜群!谷村部長のありがたさ~『美味しんぼ』第2話「士郎対父・雄山」

〇第2話の概要 山岡士郎の父・海原雄山の初登場回です。 東西新聞の事業部が企画する印象派美術展の目玉作品として、京極万太郎氏からルノワールの作品を出展してもらうことになりましたが、奥野事業部長はその接待に失敗。山岡・栗田は究極のメニュー担当者…

俳句・石田波郷「雀らも海かけて飛べ吹流し」

・所収 『風切』 一条書房、1943年 ・作者 石田波郷(いしだはきょう、1913年3月18日 - 1969年11月21日) ・句 雀らも海かけて飛べ吹流し 〇初句の訴求力 「吹流し」といえば端午の節句。子どもの健やかな成長を祈って庭先に出し、泳がせます。こいのぼりと…

〜「アムロとシャアの物語」はいかに継承されたか〜『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』映画レビュー

6月11日金曜日に公開された劇場作品『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』を鑑賞して来ました。 ○宇宙世紀シリーズの正当続編 本作は 『機動戦士ガンダム』 『機動戦士Zガンダム』 『機動戦士ガンダムZZ』 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』 『機動戦士ガ…

古今和歌集・春歌上・4番歌「雪のうちに春はきにけり 鶯のこほれる涙いまやとくらん」

・詞書 二条のきさきの春のはじめの御うた ・作者 二条のきさき ・歌 雪のうちに春はきにけり 鶯のこほれる涙いまやとくらん ・訳 雪のうちに春はきてしまった 鶯の凍った涙をいまとくのだろうか 〇鶯のこほれる涙 ウグイスの涙という描写が大変かわいらしい…

古今和歌集・春歌上・3番歌「春霞たてるやいづこ み吉野の吉野の山に雪はふりつつ」

・詞書 題知らず ・作者 よみ人しらず ・歌 春霞たてるやいづこ み吉野の吉野の山に雪はふりつつ ・訳 春霞が立っているのはどこだろうか 吉野の山に雪は降り続いている 〇暦上の春と現実の冬、その対比 カレンダー上は春になったものの、実際にはまだ雪が降…

古今和歌集・春歌上・2番歌「袖ひちてむすびし水のこほれるを 春たつけふの風やとくらん」

・詞書 春たちける日よめる ・作者 紀貫之 ・歌 袖ひちてむすびし水のこほれるを 春たつけふの風やとくらん ・訳 袖が浸かって結んだ水が凍ったのを 春立つ今日の風がとかしているだろうか 〇31文字に一年を収める 袖が浸った状態で水を手で結んだ夏。月日は…

~緊張感のグラデーション~『美味しんぼ』第1話「究極のメニュー」

こちらは『美味しんぼ』のレビュー記事です。 〇第1話の概要 主人公の山岡士郎、栗田ゆう子の登場。 主な筋書は以下の通り。 東西新聞社の創立百周年記念企画「究極のメニュー」運営スタート 不良社員である山岡士郎が、実は食に精通しており、食通を打ち負…

古今和歌集・春歌上・1番歌「年の内に春はきにけり ひととせをこぞとやいはん ことしとやいはん」

・詞書 ふるとしに春たちける日よめる ・作者 在原元方(生没年未詳) ・歌 年の内に春はきにけり ひととせをこぞとやいはん ことしとやいはん ・訳 年の内に春はきてしまった この一年を去年と言おうか 今年といおうか 〇旧年立春を詠んだ秀歌 古今和歌集の…

HGUC060「パラス・アテネ」レビュー

今回のレビューは「パラス・アテネ」です。 〇キットの概要 本キットは『機動戦士Zガンダム』に登場する機体「パラス・アテネ」を立体化したもので、旧キットでは付属しなかった武器・防具が全て揃ってHGUC化されました。 色分けは付属のシールを貼ることで…

HGUC096「アイザック」レビュー

佐藤体積といいます。 初投稿ですが、どうぞよろしくお願い致します。 今回からガンプラのレビューをしていきたいと思います。 初回は電子戦特化の「アイザック」です。 〇キットの概要とデザインの魅力本キットは『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する機体「ア…