青の書斎

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HGUC096「アイザック」レビュー

佐藤体積といいます。

初投稿ですが、どうぞよろしくお願い致します。

今回からガンプラのレビューをしていきたいと思います。

初回は電子戦特化の「アイザック」です。

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〇キットの概要とデザインの魅力
本キットは『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する機体「アイザック」を立体化したものです。HGUC通し番号96、2009年6月発売の機体で、2021年現在にあっては割と古いキットに入ります。素体がハイザックなので、基本的には見慣れたフォルムであるはず。しかし「アイザック」は、「ハイザック」とはまた別の機体として楽しむことができます。

一番の奏功者は間違いなくレドームという圧倒的に異質なオブジェクトだと思います。巨大な円盤をかぶらせる(背負わせる)ことで、ずいぶんと奇妙なシルエットを獲得することになりました。しかしこれが「アイザック」というキャラクターを立たせるうえでスペシャルな要素になっているようです。

また、レドームの「円形」に呼応する形でパーツの形状が吟味されています。
・「柱状」のプロペラントタンク
・「円形」の通信用ディスクアンテナ
・「丸み」を帯びたショルダーアーマー

ハイザック」はスパイクアーマー(トゲつき肩装甲)を採用していましたが、「アイザック」では肩のスパイクが消えています。何か設計上のアイデアが働いていると思うのですが、恐らくそれは「偵察専用MS=非戦闘型MS」であることをアピールするための仕掛けではないでしょうか。実際、「アイザック」の外箱および説明書表紙の写真では、唯一のオプション武器であるザク・マシンガン改を外され、素立ちの状態になっています。

一般的に人が物体を観測したときに受ける印象は、とがったものほど「攻撃的」、丸みを帯びたものほど「優しく協和的」のようです。一方本キットは、ラウンドな図形で統御されたフォルムに加えて、見る人の気持ちを落ち着かせる「青」の装甲色。これらにより「アイザック」独自の味わいが生まれているのかもしれません。

ブレードアンテナとグランドセンサーは尖っていますが、前述の法則から外れるものをわざと置くことで、円形一本やりなデザインに破調をもたらし、飽きさせない工夫を施していると言えるかもしれません。

このように、パーツごとにその設置意義を感じさせる「アイザック」という商品には、「既存のハイザックを素体にしてお手軽にモビルスーツを増産しよう」というような手抜き感は感じません(個人的に)。

〇キットの注意点
・ザク マシンガン改が装甲色と同色です。腕と銃器が地続きに見えて、見た目のメリハリが利きません。問題の解消には塗装が必要だと思われます。
・青い円盤状のレドームは回転できますが、受け皿に乗っかっているだけなので、簡単に外れます。

〇ほか
機体名の「EWAC(イーワック)」は早期警戒管制を指す「Early Warning And Control」の略称です。ただし「EWAC ZACK(イーワック・ザック)」のどこにも「アイザック」とは書いていませんよね。恐らく「アイザック」という名前は、戦況をつぶさに分析する「目」としての役割を与えられたことから、ハイザックをもじって「アイ(eye)ザック」にしたものだと思います。
なお「アイザック」は、イギリスの科学者ニュートンを思わせる名前です。電子戦特化のアイザックを特徴づけるため、頭脳的な戦い方を期待させるような呼び名を考案したのでしょう。「ハイザック」という音を十分に残しつつ、1文字変えるだけで絶妙なネーミングを生み出した開発陣に感服致します。