青の書斎

ドラマ・映画・小説などのレビューを書いています。

古今和歌集

~ジギャクを交えた老練な一首~古今和歌集・春歌上・8番歌「春の日の光にあたる我なれど かしらの雪となるぞわびしき」

・詞書 二条のきさきの東宮の御息所ときこえける時、正月三日おまへにめして、仰せ言あるあひだに、日はてりながら雪の頭にふりかかりけるをよませ給 ・作者 文屋康秀 ・歌 春の日の光にあたる我なれど かしらの雪となるぞわびしき ・訳 春の日の光にあたる…

~「居り?折り?」~古今和歌集・春歌上・7番歌「心ざし深くそめてしをりければ消えあへぬ雪の花と見ゆらん」

・詞書 題しらず ・作者 よみ人しらず ・歌 心ざし深くそめてしをりければ消えあへぬ雪の花と見ゆらん ・訳 気持ちを深く染めて折ったので 消えきらない雪が花のように見えるのだろう 見どころその1 春の到来を待つ心、その気持ちをどう表現するか? 今回も…

古今和歌集・春歌上・4番歌「雪のうちに春はきにけり 鶯のこほれる涙いまやとくらん」

・詞書 二条のきさきの春のはじめの御うた ・作者 二条のきさき ・歌 雪のうちに春はきにけり 鶯のこほれる涙いまやとくらん ・訳 雪のうちに春はきてしまった 鶯の凍った涙をいまとくのだろうか 〇鶯のこほれる涙 ウグイスの涙という描写が大変かわいらしい…

古今和歌集・春歌上・3番歌「春霞たてるやいづこ み吉野の吉野の山に雪はふりつつ」

・詞書 題知らず ・作者 よみ人しらず ・歌 春霞たてるやいづこ み吉野の吉野の山に雪はふりつつ ・訳 春霞が立っているのはどこだろうか 吉野の山に雪は降り続いている 〇暦上の春と現実の冬、その対比 カレンダー上は春になったものの、実際にはまだ雪が降…

古今和歌集・春歌上・2番歌「袖ひちてむすびし水のこほれるを 春たつけふの風やとくらん」

・詞書 春たちける日よめる ・作者 紀貫之 ・歌 袖ひちてむすびし水のこほれるを 春たつけふの風やとくらん ・訳 袖が浸かって結んだ水が凍ったのを 春立つ今日の風がとかしているだろうか 〇31文字に一年を収める 袖が浸った状態で水を手で結んだ夏。月日は…

古今和歌集・春歌上・1番歌「年の内に春はきにけり ひととせをこぞとやいはん ことしとやいはん」

・詞書 ふるとしに春たちける日よめる ・作者 在原元方(生没年未詳) ・歌 年の内に春はきにけり ひととせをこぞとやいはん ことしとやいはん ・訳 年の内に春はきてしまった この一年を去年と言おうか 今年といおうか 〇旧年立春を詠んだ秀歌 古今和歌集の…